こんにちは!!
ロミロミの父こと
マハロ片山です。

平成が始まったころの話です。

私は、低価格ジュエリーを扱う宝石メーカーで
営業として勤務していました。
営業といっても、40キロの重いカバンと共に
各地の宝石店を回り販売する仕事です。
北海道から鹿児島まで、営業で回りました。

会社は、石の買い付けから製造・販売まで
全て手がけていて、社員は80人近くいました。

社長は酒が好きで、社長室でウイスキーを飲んでいました。

営業部は8人で動いていました。
みんな、残業はビールを飲んでやっていました。
私は、どうも酒を飲みながら働く習慣になじめず
ウーロン茶を飲んでいました。

営業部のトップはオオニシ部長という方でした。
彼は私より3つ年上、小柄で小太り、髪を短く刈り
ジェルでツンツンに立たせていました。

声が大きく、立ち食いそばが大好きで一日5回食べる
そしてやたら「なっ、そうだよな!」って同意を求める。
新聞が嫌いで、少年ジャンプが大好き。
そして口ぐせが「おれは天才だ!!」でした。

そんなオオニシ部長ですが、常に営業成績がトップでした。
売り上げの良い得意先を多く持っていることもありましたが
取引先の社長に好かれるのです。
ものすごく社長に可愛がられるのです。

「社長!社長!なんてステキなネクタイなんでしょう!社長!」
「私はたとえ火の中水の中、どんな時でも社長のためなら!!」
「社長の会社のために、取っておきの商品を持ってきました」

そうすると、社長は喜ぶ!喜ぶ!
「オオニシ君のおすすめの物、すべて置いて行っていいよ」
「キミはよく僕の気持ちを察してくれるねぇ」
満面の笑顔を浮かべ、大量購入してくれました。

ある日、私はオオニシ部長に聞きました。

「どうして、部長は売り上げがいつも凄いのですか」

ニヤッと笑って

「おれは権限のある奴としか取引しない。
社長とか専務とか店長とかね。それ以外は相手にしない。
それは、おれは天才だから。

それとなおれは近い将来大社長になるから
そのために社長の気持ちになって売っているんだ。
だから、喜んで奴らは買うんだ。

わかったか、わかったなっ、な!」答えました。

あのころは、「ナンだろうこの人」
としか思いませんでしたが

今考えると

「おれは天才だ!!」
「大社長になる」
「なっ、な」って同意を求める。

の3つのキーワードで
営業成績トップに君臨していたのです。

とはいっても、店舗で過剰在庫となり
実は返品率も高かったのですが….

私がオオニシ部長との強烈な思い出があります。

大阪の得意先に同行することになり
私が新幹線の指定席を窓口で購入しようとすると
「おい、今日はグリーン車で行くぞ!!」と
オオニシ部長は言い出しまして、
東海道新幹線のグリーン車にオオニシ部長と二人で
乗車しました。

東京駅出発後、グリーン車に乗った嬉しさから
大声で私に話しかけてきます。

「おい、おれは天才だからグリーン車によく似合うだろ!!」

「新聞なんて読む奴の気が知れんなぁ、な!な!」

まんがを読みながら「ギャハッハッ!!!」

最後に「グーグーグー」と
大イビキをかいて熟睡しました。

それから2時間….
周りの人たちの、日経新聞越しか受ける
冷たい視線が全身に突き刺さり
あれほど、穴があったら入りたいと
思ったことがありませんでした。

あれから20年
オオニシ部長が懐かしく、かつ理解できる自分が今あります。

オオニシ部長、ありがとうございました。